
アニエラでは「好きの橋渡し」をコンセプトに、アニメをはじめとしたポップカルチャーグッズのリユース事業を行っています。長野県松本市にある実店舗「ANIERA base matsumoto」で働くスタッフに、仕事やポップカルチャーに対する想いを聞きました。

山田(やまだ)
「ANIERA base matsumoto」スタッフ。アニメ好きが高じてアニエラへ入社。初の実店舗だった松本PARCO店の立ち上げから、アニエラの店舗運営に貢献。

川嶋(かわしま)
「ANIERA base matsumoto」スタッフ。山田の紹介がきっかけで入社。アニエラで働き始めてからいろんなアニメを見るようになり、好きな作品が増え続けている。

小林巧(こばやしたくみ)
「ANIERA base matsumoto」店長。アニエラの専務取締役も務める。このインタビューでは、主に見守り役として参加。
リユースショップのお仕事
アニエラのリユース事業では、オンラインショップと実店舗の両方を運営していますが、店舗では普段どんなお仕事をしているのでしょうか。
小林巧
店舗には担当スタッフが3名ほどいて、お譲りいただくグッズの買取・販売をはじめ、商品管理、SNS発信など、店舗運営に関わることをスタッフがすべて行っています。
お店のInstagram、すごくマメに更新されていますよね!リユースショップのお仕事というと査定のイメージが強かったのですが、ほかにもいろんなお仕事があるんですね。
小林巧
そうですね。ちなみに、オンラインショップと実店舗は担当スタッフを完全に分けていて、オンラインショップの運営はオフィスのほうで行っています。
店舗のInstagramでは、日々の買取情報などを発信中。ぜひチェックしてみてください!
https://www.instagram.com/aniera_base/
コンセプトは「好きの橋渡し」
リユースというと、消費者がいかにコストを抑えてモノを楽しむか、といったことが目的になる印象を受けますが、アニエラのリユース事業では「好きの橋渡し」をコンセプトとしていて、グッズを大切にする気持ちに焦点を当てていますよね。
山田
まず、働いているスタッフ自身に「好き」って気持ちがあるなと思います。何かしらの好きな作品があることを採用時の必須条件にしているわけではないんですが、「好きの橋渡し」っていう言葉を掲げていることで、アニメとかが「好き」って気持ちのある人が自然と集まりやすいのかなと感じます。例えば、フィギュアとかを丁寧に扱ったり、何気ない小さな行動にも「好き」が出ていますね。お店に来た方から「梱包が丁寧」って言っていただけることもあり、スタッフの「好き」がちゃんとお客様にも伝わっているのかなと思います。
川嶋
グッズをお売りいただくお客様からも「他のリユースショップに比べて時間をかけて査定をしてくれる」とか、「本当にその作品を好きな人が見てくれてるんだ」という感想をいただいているので、スタッフ自身の「好き」って気持ちが、お客様から選ばれる理由にもつながっているのかなと感じます。
山田さん、川嶋さんのエプロンにはたくさん缶バッジもついていて、ここからも「好き」が伝わります!
川嶋
なんかもう、どんどん増えていっちゃって(笑)
山田
ね。以前の松本パルコ店ではエプロンじゃなくてネームプレートを首から下げてたんですけど、そのときも缶バッジつけたりアレンジして楽しんでました。
川嶋
つけてる缶バッジがきっかけで、お客様からも「その作品のグッズどこにありますか」「それって買えますか」「あの作品好きなんですね」みたいに話しかけてもらえたりして、コミュニケーションツールとしても結構役立っています。
山田
お客様との話でいうと、グッズを持ってきてくださった方がいろんなジャンルが好きで、査定した商品の話から派生して「こういうのが好きで、こういうのも持ってるんだけど」って話になって、私も同じものが好きで話が広がって、そこで仲良くなったというか、そこからよくお店に来ていただけるようになって、いろんな情報を交換するようになった、ということもあったりします。

グッズや作品をきっかけに、お客様とのつながりも生まれているんですね。実際に、このお仕事をしていて「橋渡しできたな」と感じたエピソードはありますか。
川嶋
ここにグッズを売りに来てくださる方の多くは「好きな人に引き取ってもらえたら」と思っていらっしゃるので、店頭のグッズを見て「これすごく欲しかったんです」という方にお迎えしてもらうなど、本当に欲しかった方に渡ったときには、うまく「好きの橋渡し」ができたんじゃないかなと思います。
山田
店頭にはお客様が自由に書き込めるノートがあるんですけど、そこに「子どものプレゼント用に買いに来ました」って書いていただいたり、「ラッピングしてもらうことってできますか」と聞いていただいたりすることもあって。プレゼントとして選んでもらえたときも、モノだけでなく、大切に想う気持ちまでつながる感じがして、橋渡しできたように思います。
自分の好きなものとしてだけでなく、大切な誰かの好きなものとしてお迎えする方もいらっしゃるんですね。それぞれ、素敵な「好きの橋渡し」だと感じます。
好きだからこそ得られる情報
お客様にご納得いただける査定をするためには、「レアなグッズだったけど最近再販された」など、好きじゃないと知れないような情報も必要になりそうです。お仕事としてだけでなく、プライベートの時間でもそういった情報を集めていたりするんでしょうか?
山田
そうですね。私は2.5次元の「生モノ」も好きで、展示会や舞台などの現場に行ったときにいろいろ知ったり、友人との会話の中でその友人の好きな作品について教えてもらったり、普段からいろんなところで自然と情報を得ています。社内でも、会議で他のスタッフや店長と情報交換をする機会があります。
川嶋
私も、暇さえあればアニメを見たり、XとかInstagramとかで情報を集めたりしています。実は、私はここに入社するまでそんなにアニメが生活の中になかったんです。でも、品出しとか売り場づくりをする中で興味が出たものを調べてみたり、アニメに詳しい山田や店長からいろいろおすすめしてもらったりするうちにどんどんハマって、気づけばアニメが生活の中心みたいになっています。

普段から、好きでいろんなアニメや作品に触れているんですね。仕事と生活を切り離すのではなく、好きなことをお仕事にも生かせる場所なんだなと思います。
グッズが大事にされてきた背景も想像する
お客様が店頭に持ってこられたグッズを見たときに、「これは大事にされてきたんだな」というのはわかるものなんですか。
山田
わかりますね。買取のお仕事をしてから気づいたことなんですが、未開封品だったり、状態がきれいだったりするからといって、めちゃくちゃ大事にしてきたとは限らないんだなって思います。自分がいちばん見えるお気に入りの場所に入れてたからこそホコリがついてたりとか、日焼けしちゃったりすることも全然あるなって。
川嶋
ぬいぐるみとかだと、ちょっと汚れちゃったりしてると「たくさん連れてきたんだな」とか。汚れとかダメージって、査定としてはマイナスポイントになってしまうんですけど、「いろんなところに一緒に行ったんだろうな」とか考えながら査定させてもらっています。
山田
スタッフ同士でも「これ、たくさん使ったんだろうね」って話しながら査定したりしますね。
たしかに、新品同様にきれいでも、たとえば押入れに入れっぱなしだったものだと、大事にされてきたとは言えないですもんね。日焼けしたり、汚れちゃったりした部分も、大事にされてきた証拠としてスタッフの皆さんが想像してくれるというのは、お客様にとってすごく嬉しいことなんじゃないかと思います。私も、グッズを託すならアニエラさんにお願いしたいです!
買いたい方も、売りたい方も
お店に来るお客様は、買いたい方よりも売りたい方が多かったりするのでしょうか。
山田
わりと均等に、半々になってる感じです。
川嶋
以前の松本パルコ店のときは販売のみで、店頭買取はここ(ANIERA base matsumoto)ができてから始まったんです。
アニエラ初の実店舗として2022年3月に松本PARCO内にオープンした「アニエラ 松本パルコ店」は、松本PARCOの営業終了とともに2025年2月末に閉店。その後、2025年4月に現在の「ANIERA base matsumoto」がオープンしました。
山田
初めての路面店として「ANIERA base matsumoto」をつくることになったとき、買取メインってイメージが定着しちゃうのは嫌だなって個人的に思って。もちろん「グッズを売るならアニエラ」って思ってもらえるのも嬉しいけど、普通にお買い物したり、「お金はないけどウィンドウショッピングでも行きたいな」ってときに来てもらえる場所にしたくてお店づくりをしました。そしたら、平日でも学校帰りに学生が来てくれたり、お昼休み中のサラリーマンが「近くに寄ったから」ってお買い物で来てくれたりして。最近は、観光で来られた海外の方も寄ってくれたりして、買いたい方と売りたい方がきれいに半々になっている感じがあります。
川嶋
あと、最近はSNSを頑張っていて、動画を作ったり投稿頻度を上げたりしてるんですけど、その投稿をみて来てくださる方も、買取と販売のそれぞれで結構多くいらっしゃいます。SNSにアップした買取商品をみて、それを目当てに買いに来てくださったり。
好きの「橋渡し」と考えると、グッズを売りたい方と買いたい方が同じだけいらっしゃるのが理想的だと思うので、なんというか、嬉しいバランスですね。
山田
ありがたいなと思います。
この仕事の楽しいところ
このお仕事をされていて、楽しいなと感じるのはどんなところですか?
山田
私は学生時代からアニメが好きだったんですけど、就職先としてアニメに関われる業種ってなかなか見つからなくて。やっと自分が入りたいと思えたのがアニエラだったので、ここで働けていることがまずは嬉しいです。何より、上司とか、周りのみんなが「好き」を否定せず尊重してくれるのがありがたいなと思います。
あと、自分のやりたいことを提案したときも受け入れてもらえるのもありがたいです。学生の頃は「若い子はメリットデメリット考えずにやってみたいことしか言わないから」みたいな理由で意見を聞いてもらえない経験も結構あったんですけど、アニエラでは最初からダメって言われることはなくて。自分の提案にデメリットがあっても「これをこう変えてやってみよう」ってアドバイスをいただけたりするので、自由な気持ちで楽しく働けています。
川嶋
私はアニエラに入ってからアニメを好きになったので、働いている間も新しい発見ばっかりで楽しいです。買取のときも値付けしてるときも「こんなのあるんだ」とか「なんか面白そうだから見てみようかな」とか、そういうのがいっぱいあって。毎日推しを眺められることも嬉しいですけど、元々知らないことが多かったからこそ新しく知れることが嬉しいし、自分がハマっていった気持ちを周りのみんなやお客様とも共有していけることが嬉しいです。
山田も言ってたように「好き」を尊重してくれる会社で、私が「新しくこれを好きになった」って言ったときも周りのみんなが「え、すごくいいじゃん」「自分も見てみようかな」って言ってくれたりして。安心して自分の「好き」を話せる環境だから、好きなものにもっと詳しくなれて、それがお客様とのコミュニケーションにも生かせていると思います。なんか本当に、自分の好きなものが、他の人にも「好き」として伝わっていくのがとっても嬉しいなと思います。
山田
(拍手)
小林巧
ちょっと泣きそう……。
アニエラは人々の「好き」をつなぐ立場にあると思いますが、ここで働く皆さんもまた、スタッフ同士やお客様と接しながら「好き」を共有したり、新しい「好き」に出会ったりしているんですね。アニエラの外でも中でも「好き」の循環が生まれていて、まさに「ポップカルチャーハブ」だなあと感じます。
この仕事の難しいところ
反対に、このお仕事で難しいと感じることや迷うことはありますか。
山田
これから店舗のスタッフも増やしていこうという流れが今あるんですが、新しく来てくれたスタッフに自分が教える立場になったときに、これまで教えてもらう側だった自分がその役目をうまく果たせるだろうか、という不安はあります。例えば、川嶋みたいに「もともとアニメとかにあんまり興味はなかったけど入ってみたい」という感じで入ってくれた人に、いかに強制的ではなく興味をもってもらえるか、そのために自分の「好き」の気持ちをどんなふうに伝えていけばいいのかは、正解がわからなくて難しいなと思います。
川嶋さんご自身は、山田さんからもいろいろとおすすめしてもらいながらアニメにハマっていったそうですが、強制感なく興味を深められましたか?
川嶋
そうですね。基本的に、自分から興味をもって「見たい」「知りたい」と思ったものだけをおすすめしてくれるので、強制に感じたことはないですね。例えば、ビジュアルとかから自分が好きそうなものを見つけたときに「これってどういう作品?」って山田に聞いてみたりして、「たぶん好きだと思うよ」って教えてくれるような。
自分が好きなものって、強制力をもって話しちゃうこともあると思うんです。「絶対面白いから見て!」みたいな(笑)。でも、山田は「あなたが好きかはわからないけど、1話だけ見てほしい。それでハマらなかったら見なくていいから」って言ってくれるタイプなので、おすすめされる側としても気軽に「見てみようかな」って思えます。
山田
おすすめするときは、切り抜きを用意して面白いところだけ見せたり、絵柄が好きか、声が好きか、とかを聞いて、その人にハマりそうか探ります。あと、やっぱり人によって「地雷」もあるので、苦手なものも最初に聞くようにしています。
川嶋
山田は同じ作品を何回も見たりしているので、切り取り方や説明が上手だと思います。自分が面白いと思ってる部分だけ伝えるんじゃなくて、「こういうストーリーがあって、こういうキャラクターたちの心の動きがあるから面白いんだよ」って紹介してくれるので、説明聞くだけでも面白そうだなって思います。
山田
私が何度も同じアニメ映画を観に行っていた頃、「どうしてそんなに通うの?そんなに面白いの?」って聞かれたときに、「こういう話でね」って説明したら、川嶋は観てもいないのに泣いてくれて(笑)
川嶋
主要キャラクターが亡くなってしまう説明がうますぎて、そのキャラクターも知らなかったんですけど、説明だけで「かわいそうだ」ってなって(笑)
山田
そんなこともあって、川嶋には「好き」を広げたり深めたりする素質があったんだろうなと思います。もとからアニメに詳しくなくても、説明を楽しんでくれたり、受け入れてくれたりすることはやっぱり大事かなと思っています。
お話を聞く限り、山田さんはすでに、相手が強制感なく興味をもてるように「好き」を伝えられている気がします。また、もともとアニメが好きか・詳しいかに関係なく、「好き」のつながりを広げていくには、川嶋さんのように前向きに興味をもったり受け入れたりする姿勢も大切だと思いました。本当に、お二人のお互いの関係が素晴らしいです。
川嶋さんは、お仕事で難しいと感じたり、迷ったりすることはありますか。
川嶋
買取について、喜んで売ってくれる方が大多数ではあるんですが、どうしてもお客様のご希望とこちらの提示額が合わないこともあるので、買取が成立しなかったお客様に対して「どんな気持ちで帰られたのかな」「もっと納得いただけるように言えたんじゃないか」「金額をもうちょっと頑張れたんじゃないか」「また来てくれたらいいな」と考えてしまいます。どのお客様にも満足していただきたいんですが、やっぱりすべてのご要望に応えられるわけではないので、難しいなと思います。

査定にも絶対の正解はないと思うので、お客様の想いを汲みながらどんなご提示をするか、悩む場面もたくさんありそうです。
山田
買取が成立しなかったときに、「なんで今回ダメだったのか」をお客様にお伺いしてみると「他のお店と迷ってて、一回持ち帰って考えたい」って答えていただけたり、そのままお話する中で「ここでもいいかも」と結果的に買い取らせていただけたりもするので、会話を続けてみることも大事だなと思います。
川嶋
確かに、買取が成立しなくても、査定結果の理由をきちんとお話することで納得してくれる方もいますね。中には「本当は売るのを迷っていて、査定してもらってる間にやっぱり手元に置いておきたくなった」というお客様もいらっしゃるので、買取が成立しなかった理由は必ずしも「金額に満足できなかったから」ではないんだなと思います。
お客様もそのグッズを大切に想ってきたからこそ、査定額だけでなく、その想いに寄り添うコミュニケーションが、ご満足いただくうえでとても大切なんですね。
これからの展望
今後、リユースショップでのお仕事を通して「これは続けていきたい」「こんなお店にしていきたい」と思うことはありますか?
山田
お店として「自分が好きなものを好きなように追いかけていいんだよ」って肯定していることは伝えたいので、流行ってるものだけを置くんじゃなくて、レトロなものとか、自分が幼少期に好きだったものとか、本当に種類豊富な商品をこれからも扱っていきたいなと思っています。
川嶋
私は、以前の私みたいに「今はアニメをそんなに見てないけど、もしかしたら興味が出るかも」って人も気軽に入れるお店にしていきたいですし、すでに自分の「好き」が確立している人にも、さらに「好き」を与えていけたらいいなと思います。何より、「好き」を大きな声で言えることの素晴らしさを、お店として伝えていきたいです。
山田
あとは、店舗限定のイベントなんかも試しながらいろいろやってみて、お客様も働いてる人も、ずっと楽しめる場所にしていきたいなって思います。
川嶋
みんな楽しんでくれれば!って感じです。
山田
ミュージシャンみたいなこと言っちゃってる(笑)
アニエラの皆さんからは、自分の「好き」に誇りをもち、堂々と「好き」といえるかっこよさを感じます。このお店を訪れた方がもっと自分や周りの「好き」を肯定できるようになったらすごく素敵ですし、「好き」のつながり・広がりがますます生まれやすくなる気がします。
最後に、小林店長からのメッセージをお願いいたします。
小林巧
伝えたいことはだいぶ二人が言ってくれたんですが、お客様への寄り添い方だったり、商品の梱包みたいに見逃しちゃうような細かいところから、これからもスタッフの愛が伝わっていくといいなと思います。
リユース業界って、モノを売ることに対して「お金がないから」「置く場所がないから」「不要になったから」というネガティブなイメージもやっぱり多いんです。一方で、アニメなどのポップカルチャーは生活必需品ではなくて、愛で成り立っているような業界だと思うので、我々が「好きの橋渡し」を体現していくことで、リユースというサービスがもっとポジティブになってくるといいなと思います。そうなったら、我々の理念としても、業界としても、このショップとしても、すごくいい未来が描けるんじゃないかと思うので、みんなでチーム一丸となって、そんな未来を目指していきたいなと思います。

「好きの橋渡し」を掲げるアニエラだからこそ、クリエイターの気持ちもファンの気持ちも大切にしながら、リユースをもっとポジティブなものにしていけるように思います。
山田さん、川嶋さん、小林さん、ありがとうございました!